「データの"食わず嫌い"はもったいない」元オリックス投手・前田祐二が主催した"身体能力測定会"とは
去る3月31日。
福岡の中心部から、西へ30分ほど車を走らせたところにある西部運動公園野球場にて、とあるイベントが開催されました。
それは元オリックス・バファローズ投手、前田祐二さんが企画した「身体能力測定会」です。
高校生以上を対象にしたこちらのイベントは、「自分の野球能力を数値化する」ことを目的に開催されました。
ZETT社による身体能力評価に加えて、われわれRapsodo Japanも投球・打球データの計測を行うために参加させて頂きました。
そこで今回の記事では、そんな「身体能力測定会」を主催した前田さんにインタビューして聞いた企画に込められた思いや、実際のイベントで計測したラプソードデータ、またイベントに参加した選手の声をまとめて紹介していきたいと思います。
1. 前田祐二さんインタビュー
ー前田さんは現役時代からデータ活用はされていたのでしょうか。
前田 ピッチャーをしていたのですが、佐々木朗希(ロッテ)投手のような剛速球もなければ、千賀滉大(ソフトバンク)投手の「お化けフォーク」のような唯一無二の変化球もありませんでした。
そのためどうしたら一軍で活躍できるかを考えて、相手打者の配球データを戦略的に分析するようになりました。
ー具体的にはどのようなデータをチェックしていたのでしょうか?
前田 直近5-10試合の配球パターンとコース別・球種別の打席結果はすべて頭の中にインプットしていました。結果的に打てていないコースに投げ込むためにどのように追い込んでいくかなど、何度もシミュレーションして実戦に臨んでいましたね。
同じデータはキャッチャーの方も見ていましたが、僕の方が詳しく見ていたと思います。
ー現役引退後、指導者に転身してからデータの重要性をどのように考えていますか。
前田 今の時代、データを見れない・見ようとしない指導者は置いて行かれると思います。また選手も、自分でデータを見れるようになることは非常に大事だと思っています。
ZETTさんの身体能力評価やラプソードの投球・打球データなど、数字で自身の課題が正確にわかるようになった中で、「計測してもその後の使い方が分からない」という理由で計測しないでいることは、とてももったいないことだと思います。まずは計測してみて、そのデータの活用法は後から考えればいいことだと思っています。
せっかく自分の体やパフォーマンスのことを詳しくわかる技術があるのに使わないというのは、「食わず嫌い」とでも言いますかね。使ってる人と使ってない人の差がすごく離れていくと思います。
言葉で伝えるのは難しいですが、「計測しておかないともったいないよ、置いて行かれるよ」というのは、すごく伝えたい部分ですね。
ーイベントを通して伝えたい、選手たちへのメッセージをお聞かせください
前田 こういうイベントを何故するかというと、データを活用することは自身の能力・持ち味に気づける、選手自身の将来の可能性を広げることにつながると考えるからです。
私は中学から野球を始めて、高校は公立の進学校とまったく野球のエリートではありませんでした。野球の強豪校と普通の公立校とでは注目のされ方も違うと感じますが、一方で公立校でも強豪校の選手と能力が変わらない選手も中にはいるんですよね。
選手それぞれいろんな持ち味があるし、データを計測してその持ち味を光らせてあげたり、気づかせてあげたいです。
高校野球で終えてしまう選手も多いと思いますが、自分の能力に気づいて野球をずっと続けていれば、大学に行ったり社会人、独立リーグなど野球の道が開けてくると思います。
「自分の能力が低いから」と卑下して計測しないではなくて、自分のために計測会に参加するなど、行動していってほしいと思っています。
2. イベントレポート
ここからは、実際のイベントの様子をお伝えします。
当日の天気はあいにくの雨。午前中も冷たい雨が降り続き、グラウンドはこのように多くの水たまりが出来ている状況でした。
そのため、午前中は室内のできる範囲でZETT社の身体能力評価測定からスタート。福岡県内を中心に全国各地から集まった10数人の参加者が、筋力バランスや柔軟性などたくさんの項目を測定していました。
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やっと雨が上がり、グラウンドコンディションが回復したのはお昼休憩が終わって後でした。ZETT社の30m走、メディシンボール投げ等の計測をこなし、次にZETT社と共同で行ったのがスイングスピードの計測と、ラプソードHITTING 2.0を使った打球速度・角度等の計測です。
参加者は各5球ずつティーバッティングを行いました。HITTING 2.0では下記のようなデータが計測され、即時にiPad上に表示されます。
打球の計測結果は後ほど参加者にシェアされましたが、このように打球速度がどれくらいなのか、打球に角度がつけやすいスイングなのかなど、定量的に自身の打球傾向を把握することができます。
続いて、投手はラプソードPITCHING 2.0を使った投球データの計測を行いました。
投手の参加者はストレート20球、変化球10球の計30球をブルペンにて計測。PITCHING 2.0では下記のようなデータが計測され、こちらも即時にiPad上に表示されます。
この時間帯からまた小雨がぱらつき始め、気温もかなり下がって投手には辛いコンディションでした。ただ、参加者は皆熱のこもった投球を披露してくれました。
投球データも各選手ごとにまとめ、簡単なフィードバックとともに配布しています。以下は今回の参加者の縦・横の変化量チャートの例ですが、似たタイプの投手が殆どいないほど皆とてもバラエティに富んだ球質をしていて、改めてラプソードを活用することで投手の個性を定量的に把握することができると実感しました。
投手の参加者全員の計測を終えたところで、今回のイベントは終了。
本来ならPITCHING 2.0とHITTING 2.0を両方グラウンドに設置した実戦形式での計測も予定していましたが、雨の影響で日程がずれこんだこと、またグラウンドコンディション不良で今回は残念ながら中止となりました。
ただそれでも、イベントの目的である「自分の野球能力を数値化する」ことは達成できましたし、選手たちも自身の現在地や今後の課題を把握することができたと感じています。
イベント終了後には、参加者にアンケートにも答えてもらいました。頂いた回答の中から、リアルな「参加者の声」を一部紹介させてください。
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以上、前田祐二さんインタビュー&「身体能力測定会」イベントレポートでした。このレポート記事を読んで、ひとりでも多くの選手・指導者がデータ活用に関心を持ってくれたら嬉しいです。
もしいま現在ラプソードの導入を検討中でしたら、ぜひ以下の記事をご確認頂くことをオススメします。
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今後も定期的に商品・サービスやその活用方法についての情報を発信していきます。
引き続き公式noteをどうぞよろしくお願いします!