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「データを通して、どれだけ感覚が曖昧かが見えてくる」元ロッテ投手・小林亮寛が語る計測の重要性【後編】

Rapsodo Japan

MLB全球団、NPBでも多くの球団で活用が進むラプソード。

近年では日本でも大学、高校、中学硬式とアマチュア球界にも徐々に導入が進んでいますが、一方でユーザーの皆さまからは「活用方法がよくわからない・難しい」というお声を頂くことも少なくありません。

そこで公式noteでは、長年ラプソード商品を使いこなしている"コアユーザー"の方にその活用方法を聞くインタビュー連載「コアユーザーに訊け!」をスタートしました。

今回は昨日公開した前編に続いて、元千葉ロッテマリーンズ投手・小林亮寛さんのインタビュー記事後編となります。

前編はこちらから↓


自身の回転数・回転軸の特徴を理解して、強みを活かすピッチングの確立を目指す

小林亮寛 (こばやし・りょうかん) 1979年生まれ。PL学園高校から、1997年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズに6巡目指名を受け入団。2002年にロッテ退団後は、打撃投手として中日ドラゴンズ (2003 - 2005)に所属。2006年以降は、アメリカ独立L、四国IL、台湾、メキシコ、韓国など国内外でプレー。2014年に現役引退。2015年以降は、地元福岡にて野球専門トレーニングスタジオ「コビーズ」の代表を務めている。

ー亮寛さんは、ラプソードで計測できる指標で特にどれが重要だと思われますか?

亮寛 やっぱり回転数ですね。回転効率を整えようとしすぎて回転数が落ちてしまうとどうしても打たれやすいボールになってしまいますが、回転数が上がっていけばクセ球がもっとクセの強いボールになっていきます。

「クセが強い」ということは打ちにくいボールになるということなので、そこも日本のアマチュアのピッチャーに理解してほしいですね。

というのも僕が若いころは、ストレートがシュートする球質だったんですよ。それを整えよう整えようとして。コーチからも「またシュート回転してるぞ」と何度も指摘されましたが、うまくいかなくて。

ただロッテを退団してアメリカに行くと、周りから「良いツーシーム投げるね」と言われたんですよね。自分ではツーシームではなくフォーシームを投げていたんですけど(笑)。ただこの言葉に出会って、「ああ、ツーシームとして投げればいいんだ」と思えるようになりました。

そこからもっと強いツーシームが投げれるよう握りを変えて、ツーシームピッチャーとして成功したんですよ。だから自分の特徴・強みに気づくということは、凄く大事かなと思っています。

アメリカ時代の写真 (公式Twitterより引用)

亮寛 なので選手には「回転数を上げよう」もそうですが、「自身の回転数・回転軸を理解しよう」も合わせて伝えています。

結局ストレートの球速が速くても打者がイメージしやすいボールだと打たれてしまうので、相手がイメージしにくいボールをデータを用いて研究する必要があると思います。


回転数を上げるには

ー自身の球質を理解することは大切ですね。一方で、我々も「回転数を上げるためには、具体的にどうすればいいですか?」とよく聞かれるのですが、亮寛さんは選手にどうアドバイスしていますか。

亮寛 選手のフォームを見てみないと改善点は言えないし、ボールの握り方などいくつかアプローチはありますけど、選手によっても違うので具体的に一つ挙げろと言われると難しいですね。

ただ抽象的な表現になりますけど、「背骨のしなり」はよく言いますね。

良いピッチャーっていうのは、背中が反るようなしなりがあるんですよね。体が柔らかくてしなりがあるピッチャーは、回転数が多い傾向にあるように思います。

逆に背中が硬いと体が起きちゃって、抜けるボールが増えてきます。

背骨に「しなり」がなく硬いと、ボールが抜けやすい傾向にある

ー背骨のしなりを出すにはどうしたらいいんでしょうか?

亮寛 体はバランスなので、股関節が硬いと背骨は固まります。そして股関節が固まるのは、足の裏、着地が不安定な子が多い。

そのため細かく言うと、足の裏から見ます。足の裏をケアして、股関節周りのケアをして、首のケアもします。そこまですると多少しなりが出てきますね。

ー全身のバランスを整えるということですね。

亮寛 そうですね。なのでうちのレッスンを受けに来た子で「肘が痛い」という子を見るときに、体がズレて固まって動いてないと思ったら、投げる前に整体の先生を紹介することもあります。原因は投げ方ではなく、体の状態なので。

だから痛みが出てから病院に行くのではなく、健康な時でも月に一回でもいいから整体やカイロプラクティックに行って、「背骨を整えてもらいな」と勧めています。


回転効率を改善するには

ストレートの場合、計測画面中央左寄りの「回転効率」が100%に近づくほど、
ホップ成分の大きい空振りを奪える球質になると言われている

ーそれでは、回転効率についてはどうでしょうか?

亮寛 股関節、骨盤の回転の角度ですね。日本の球場で多い傾向が、マウンドの傾斜が緩くて柔らかい。なので、どうしてもホーム方向への並進力を上げようとしすぎて、最後の骨盤の回転が疎かになっているケースがよく見られます。

骨盤の回転が浅いので、ボールが抜けていく。ボールを抜けないように無意識に腕だけで制御しようとするから、カット気味のリリースになってしまう。そのためジャイロ回転が増えて回転効率が落ちるんだと思います。

この場合、歩幅を狭くしてみようとアドバイスしています。骨盤がしっかり入った状態でリリースするとボールは遠心力で自然と抜けていくんだから、(ボールを引っかけるのではなく)抜けていくのが正解だよと教えています。この感覚を掴むことができると、回転効率の修正はできるかなと思います。

ー体重移動を意識しすぎないということですね。

亮寛 これは少年野球の弊害でもあると思っています。アメリカでは、リトルリーグからマウンドで投げますが、「体重移動はマウンドがやってくれることだ」と教わります。それが日本では体重移動の練習ばかりするので、いざマウンドに上がった時にバランスが取れなくなってしまう。

僕もこれはアメリカに行って気づいたんですよ。日本にいるときは一生懸命体重移動の練習をしていましたが、アメリカに行って歩幅を小さくしたら、コントロールが良くなってスピードも上がって故障も減りました。

選手それぞれの股関節の硬さも違うし、球場によってマウンドの傾斜や硬さも微妙に違ってくるので、本来歩幅は環境に応じて変えないといけないんですよ。けど僕もよく6歩半とか測ってましたけど、あれに縛られてるんですよね。

ホームグラウンドで、調子のいい時の歩幅を測っておくことは大事だと思います。ただそれに縛られることなく、たとえばイニングごとにでも歩幅は変わるべきだと思ってます。下半身が疲れてきたりマウンドが掘れてきたら、歩幅を変えないと狂うと思うので。

回転軸、回転効率に限らず、マウンドの傾斜・高さの使い方や歩幅について考えることはとても重要だと思います。


データを通して、自分の感覚が如何に曖昧かを知ることが重要

コーチを務める女子野球チーム「九州ハニーズ」のトライアウトでもラプソードを活用
(公式Twitterより引用)

ー最後に、選手に伝えたいことを教えてください。

亮寛 感覚を数値化して理解することと、自分の感覚が如何に曖昧かを知ることですね。調子いいなと思っても数値が良くないこともあるし、そもそも感覚が鈍い選手が結構多いんですよ。

指導してても、良くなっているのに気づけない選手がいます。数値は上がってるよと伝えると、そこで初めて「本当ですね」と気づく。計測することで、自分の感覚に向き合う良いきっかけになるんじゃないでしょうか。

あとは自分の感覚が如何に曖昧かを知ることで、故障も防げると思います。やっぱり怪我しなかったら試合に投げていけるんですから。試合で投げないと絶対うまくならないので、感覚を数値化することでパフォーマンスの向上と怪我の予防の両方を目指してほしいと思います。

・・・

以上、コアユーザーである小林亮寛さんのインタビューを2回に分けてお送りしました。

亮寛さんが代表を務めるコビーズは、インスタグラムでも積極的に発信を行っています。より詳しく亮寛さんの野球指導について知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

公式noteでは、今後も定期的に商品・サービスやその活用方法についての情報を発信していきます。

引き続きどうぞよろしくお願いします!

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