【打撃編】第1回:根鈴雄次氏のホームランとは?スイングとは?
皆さん、こんにちは!
Rapsodo Japanでは、トレーニングシーズンの特別企画として投打それぞれのプロフェッショナルの最新の理論を紹介し、現場の指導者や選手の皆さんの課題解決のヒントになる考え方を、note、YouTube、その他SNSなどで発信していきます。
・・・
まず最初に紹介させて頂くのが、打撃指導のプロフェッショナルとして「アラボーイベースボール根鈴道場」を主宰する根鈴雄次さんです。
根鈴さんは法政大学を卒業後、メジャーリーガーを目指してモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)とマイナー契約を結び、その後日本人野手として初めて最底辺のトライアウトから3Aまで昇格した、異端な経歴の持ち主。現役引退後は「アラボーイベースボール根鈴道場」を立ち上げ、今年パリーグの本塁打王を獲得したオリックス・バファローズの杉本裕太郎選手も指導しています。
今回はそんな根鈴さんに、「メジャー流」の本塁打を生み出す打撃理論を語って頂きます。打撃理論からヒット、ホームランの概念、またオリックス・バファローズの杉本裕太郎選手が本塁打王を獲得するまでの道のりを、動画では全2回、記事では全5回に渡りお送りします。
第1回目となる今回は、具体的な打撃理論に入る前に、根鈴さんが考えるヒット、ホームランの概念やスイングの基本的な考え方について解説して頂きました。日本ではなかなか耳にしない考え方も多いので、是非参考にしてください。
1. ホームランを目指すことの重要性
ーヒット、ホームランを打つために必要なことは、日本では速く、強いスイングを求めがちです。しかし根鈴さんは、それ以上に大切なことがあると断言します。日米のヒット、ホームランの考え方の違いを踏まえながら、打撃で一番大切な意識を説明してくれました。
根鈴:仮に僕が高校の指導者で、選手を迎え入れる立場なら、まずホームランを打ちたいという思いを持ち続けて欲しいと考えています。打球は強くなくていいので、20-30°のライナーを常に打つ打撃を探求してもらいたいなと思います。
私はスイングスピードを上げるとか、ロングティーで打球を遠くに飛ばす練習にあまり意味はないと考えていて、投手が投げてきたボールに対して、ライナーが作れる角度で捉える技術が大事です。
打球が強いか弱いかはフィジカルが関与しますが、例えばオリックス・バファローズの福田周平選手のように手首を返さず(パームアップ)にスイングして、野手の間を抜くライナーを打つことも可能です。大事なことはどのコースに対しても、90°に広がるフェアゾーンにライナーを打てることで、その意識を選手のみんなが持てればチームの打撃は上がってくると思います。
ジャストミートしなくても、外のスライダーにチョンとバットを当てて、サードとファーストの頭を越えればヒットはヒットです。無闇にフルスイングしすぎることで、ボールの捉え方がルーズになると意味がありませんし、ただバットの先端の速度だけ速くなることもにも何の意味もないと思います。2年半の短い高校野球生活の中で、いかにライナーが打てる角度でバットを入れることができるかを意識して欲しいですね。
2. バットを縦に使う意識
ーここまで、ただバットスイングの速さ、強さを求めれば良い訳ではないことを解説して頂きましたが、では具体的にどんなスイングを求めていけば良いのでしょうか。根鈴さんは基本的な考え方として、バットを横に振るのではなく、縦に使うことの重要性を語ります。
根鈴:私が考えるのは、最後の最後まで縦にバットを出すことが大事だということです。バレルゾーンに入る打球を打つためには、スイング速度が約128km/h、除脂肪体重は約65kgが必要と言われていますが、誰しもが高校でその領域に行けるとは思いません。
ですが、確率を高めるために必要な「縦のスイング」を身に付けることはできます。バットの縦の面を下向きにボールを当てるとゴロに、バットの縦の面を上向き当てるとライナーを打つことが出来ます。縦に使えば重力に敵対してないのです。
反対に横からバットを出すと、水平の軌道を保たなければならないため重力に敵対しており、手首にすごく負荷がかかります。ボールの軌道にバットを合わせるのがすごく大変なんですね。
日本で野球をやってる選手たちは、手首を使って横にスイングするのが普通になっていますが、高校進学を機に新しい技術を身に付けるということで、バットを縦に使う意識を持ってもいいのではないかと思います。
3. 立ち位置に合わせた打撃の模索
ーバットを縦に使う。日本ではなかなか聞き馴染みのない考え方ですが、根鈴さんはこのバットを縦に振る理論を基本に、チームでの立ち位置やキャラに応じて、柔軟にスイングしていくことを薦めます。
根鈴:高校卒業後も、大学、社会人、プロ野球、もしくは草野球とプレーは続いていきますが、バットを縦に使う意識はチーム内での立ち位置や役割が変わったときにも活かせると思います。
体が成長してフィジカルが整った時に、例えば大谷翔平選手のように大柄でなかったとしたら、無理にホームランばかりを目指す必要はありません。2番打者や8番打者など繋ぎの役目であれば、ライナーを打つ打撃、状況に応じた打撃が必要ですが、その技術は縦のスイングでも十分に対応できます。むしろ強いボールを投げる投手であればあるほど力負けすることがないので、相手にとっては嫌な打者となると思います。
・・・
以上、「アラボーイベースボール根鈴道場」を主宰する根鈴雄次さんにヒット、ホームランの概念、そしてスイングの基本的な考え方について解説して頂きました。当noteの動画版は、ぜひこちらからご覧ください↓
次回の第2回では、具体的な縦スイングとその練習方法について詳しく解説して頂きます。お楽しみに!
・・・
次回の記事はこちらから↓