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中央大学AI・データサイエンスセンターとの取り組み①男子ソフトボール部での活用事例

MLB全球団、NPBでも多くの球団で活用が進むラプソード。

近年では日本でも大学、高校、中学硬式とアマチュア球界にも徐々に導入が進んでいる一方、研究目的で大学の研究室や病院が主導して導入するケースも増えてきました。

今回ご紹介する中央大学も、そのうちの一つです。

中央大学AI・データサイエンスセンターと株式会社Rapsodo Japanは、スポーツ実データを活用したデータサイエンス教育とスポーツの振興及びスポーツデータアナリスト育成の支援を目的に、昨年5月に「産学連携協力に関する覚書」を締結しました。

中央大学AI・データサイエンスセンターとRapsodo Japanの連携イメージ
(中央大学プレスリリースより)

具体的には、中央大学AI・データサイエンスセンターは硬式野球部とソフトボール部にラプソードの計測機器を貸与し、計測したデータをチームの強化および理工学部統計科学研究室などの教育・研究に活用しています。

この度、より詳細な活用状況についてお聞きするため、Rapsodo Japanは中央大学の男子ソフトボール部をご訪問しました。

ラプソードの運用をリードするチームのエース・菊岡哉優投手にお話を伺っています。

国内のソフトボールチームにおけるラプソードの活用事例はかなり稀なので、ぜひご一読ください!

選手主導のデータ活用。バッテリーでデータを共有し、球質改善に取り組む

菊岡 哉優(きくおか・かなう)投手は、チームのエースとして投手陣をまとめる。
1年時よりラプソードによる計測を定期的に実施している。

ー中央大学男子ソフトボール部では、練習の中でどの程度ラプソード・PITCHING 2.0による計測を取り入れているのでしょうか。

菊岡:練習メニューや天候などにもよりますが、週に2-3回程度計測を行っています。ブルペンでの投げ込みの際に使用するか、グラウンドでの実戦形式での練習の際にもPITCHING 2.0を置いて投球データの計測を行っています。

ラプソードの運用はバッテリーとマネージャー数人で行っていて、セッティング方法はチームのLINEグループのノートに記載しているので、誰でも見れるようにしていますね。

投げ込みをする際には、投手陣全員でデータを見ながら投球の改善に活かしています。投げた感覚をキャッチャー含むバッテリー間で共有して、データと合わせて話し合いながら調整していくイメージです。

計測データを見ながら練習することは常に球質を意識しての投球に繋がり、結果として投球練習の質が向上したと感じています。

投手陣が1球ごとに交代しながら投げ込み・計測を行う。フェンスに取り付けたiPadにデータが表示されると、全員で確認しデータと感覚のすり合わせを行っていた。

ー指導者の方はどのように計測およびデータ活用に関わっていますか?

菊岡:指導者の方が毎日グラウンドに来て計測に立ち会っているわけではないので、計測は選手指導で行っています。計測結果に基づいた球種の改善についても、基本的にはバッテリー間でデータと感覚を共有しながら進めています。

ただ指導者の方は、iPadアプリRapsodo Diamondやクラウドを通じて、僕たち選手の状況を確認しています。投手の良い時期・悪い時期を把握したり、年間での成長度合いを確認する形でデータを役立てているそうです。

ラプソードのクラウドでは、計測したデータ・動画を蓄積していくだけでなく、様々なチャートを用いて選手の分析を行うことができる。

計測データをもとに理想の投球を追求。被弾が減るなど実戦での手応えも。

iPadアプリ「Rapsodo Dimond」の計測画面。球速、回転数、回転軸の傾きなど様々なデータがリアルタイムに確認できる。

ーそれではより具体的な活用方法についてお聞かせください。計測できるデータのうち、特にどの指標を活用していますか?

菊岡:PITCHING 2.0で計測できるデータの中では、回転効率*が特に大切だと考えています。回転効率が良くなると、ボールの変化量、また球威も上がってくると実感しています。

【回転効率】投球の総回転数のうち、「変化に貢献する回転」であるトゥルースピン(バックスピン、トップスピン、サイドスピン)の回転数の割合をパーセンテージで表した指標。投手側からホーム側への回転軸の傾きである「ジャイロの角度」が関係しており、ジャイロの角度が0度だと100%、90度だと0%になる。ホップするストレートや落差の大きいカーブ・ドロップを投げるには、回転効率を高めることが重要となる。

菊岡:導入時と比べて、一番改善したのも回転効率ですね。

例えばドロップという球種について、導入当初は回転効率が70-80%台でした。ただ計測を続ける中で、リリース時の感覚と数値をすり合わせながら調整することで、今では90-100%まで改善されました。

数値の改善とともに変化量の数値も上がっていった結果、試合でも打たれにくくなった、ホームランを打たれることも少なくなったと自分では感じています。

投球後、計測データが表示されるiPadを全員で確認し、意見を言い合う姿が印象的でした

菊岡:また回転効率に加えて、回転数も変化球を磨いていく中では重要なデータだと感じています。

たとえば、僕は今までチェンジアップという球種が得意ではありませんでした。そこで後輩にチェンジアップが得意な投手がいたので、球速以外で何が自分のチェンジアップと違うか比較してみました。すると、回転数が自分のチェンジアップの方がかなり多いことが分かりました。

改めて自分の感覚と合わせて考えてみると、自分の場合はリリース時に指の引っかかりが多かったことでボールの回転が多くなり、打者視点で見たときにチェンジアップに抜かれるような感じを作れていないのだと思いました。

ラプソードを活用すれば回転数やリリース時の角度等が計測できるので、そこから回転数を減らすにはどういう握り、リリースの角度にしたらいいか試行錯誤していきました。

具体的には、もともと回転数が800-900あったのを、400-500まで減らせれば上手く指から抜けるように投げられると仮説を立てて、その数値を目標に練習を続けています。

チェンジアップについて、今までは如何に球速差をつけるかということしか考えていませんでしたが、ラプソードを導入することでいろんな視点で球種を分析することに繋がったと思っています。

計測を通して、様々な視点から自分のピッチングを分析し、スキルを磨く

中央大学男子ソフトボール部の皆さま

ー最後に、菊岡投手にとっての「計測することの重要性」についてお聞かせください。

菊岡:中央大学男子ソフトボール部にラプソードが導入されてから、1年が経ちました。日常的に計測を行いデータで分かることが増えてからは、様々な視点から自分のピッチングを見たり、スキルを身につけたりすることが出来たと感じています。

例えば僕はこの1年間で球速が110キロから115キロに上がりましたが、正直スピードで押していくタイプではないので、たまにタイミングを外して投球したり工夫をしています。

全力投球の時とタイミングをずらして投げたときの球質の違いを比較すると、やっぱりタイミングを外したときは数値が下がってしまうんですよね。なので力を抜いたときでも球質は維持できるように意識して練習できるようになったのも、PITCHING 2.0で計測できることのメリットの一つです。

Rapsodo Dimondでは球種ごとの軌道の違いを可視化することができる

菊岡:パフォーマンス向上のために、今まで以上に考えて練習に取り組むことができるようになったので、練習の質を上げるためにも計測することは重要だと感じています。

導入2年目に入りましたが、現時点で後輩たちは数値の見方や活用法もまだまだわかっていないので、これからは自分がもっと数値の見方や活用法をアドバイスしていきます。チーム全体でデータへの理解を深めて、さらなるレベルアップにつなげていきたいと思っています。

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以上、中央大学男子ソフトボール部・菊岡哉優さんのインタビューをお届けしました。今後も、中央大学AI・データサイエンスセンターとの取り組みについては、定期的に発信していきます!

また中央大学男子ソフトボール部の活動はTwitterやInstagramでもチェックできますので、この機会にぜひフォローしてください!

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公式noteでは、今後も定期的に商品・サービスやその活用方法についての情報を発信していきます。

引き続きどうぞよろしくお願いします!

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