2021年都市対抗野球大会王者・東京ガス硬式野球部のラプソード活用事例
MLB全球団、NPBでも多くの球団で活用が進むラプソード。
近年では日本でも大学、高校、中学硬式とアマチュア球界にも徐々に導入が進んでいますが、一方でユーザーの皆さまからは「活用方法がよくわからない・難しい」というお声を頂くことも少なくありません。
そこで公式noteでは、長年ラプソード商品を使いこなしている"コアユーザー"の方にその活用方法を聞くインタビュー連載「コアユーザーに訊け!」をスタートしました。
第5回に登場するのは、昨年まで2年連続で都市対抗野球大会で決勝進出を果たしている社会人野球チームの名門・東京ガス硬式野球部さんです。
東京ガス硬式野球部では、ラプソードで投球・打球のデータを計測することでチーム強化に役立てて頂いています。
今回はチームのデータ担当コーチである、安本英正さんにお話を伺いました。
社会人野球チームにおけるラプソードの活用法について、ぜひ参考にしてみてください。
打撃力強化に向け、打球速度150キロを目標に練習に取り組む
ーまず打撃面でのラプソードの活用についてお聞きしたいのですが、HITTING 2.0はどのように使用されていますか?
安本 フリー打撃では、毎回設置して計測を行うようにしています。選手たちも計測を続けることで、打球速度などを気にしてくれるようになりました。
打球速度を上げていくための取り組みとしては、除脂肪体重など体組成の計測と選手ごとに合ったトレーニングメニューの立案なども合わせて行っています。
また月ごとの最高・平均打球速度と打球角度は食堂にも貼り出しているので、自身の数値と他の選手の数値を比較したりすることで、チーム間の競争意識を高めたり選手のモチベーションアップにもつながっていると思います。
ーチームとして打球の計測に取り組もうと思われたきっかけは何かあるのでしょうか?
安本 一昨年に都市対抗野球で優勝したのですが、実はその年のベスト8に入ったチームの中では打球速度がワーストでした。
そこから打撃力アップに取り組もうと思いHITTING 2.0を導入し、日々の練習の中で長打・安打が出やすい「150キロ」の打球速度を意識するようになりました。
選手にとっても「強い打球を打とう」より「150キロ以上の打球を打とう」というように、より目標が具体的になったのは良かったと思います。
結果として昨年は準優勝でしたが、打球速度はベスト8のチームの中で2番目の数値だったので、着実に成果は出ていると感じています。
数値と感覚の優先度をどう考えるか、自分で整理した上でピッチングに臨む
ー次に投手陣のラプソードの活用についてお聞きしたいのですが、PITCHING 2.0はどのように使用されていますか?
安本 チームには投手が多くいますが機器は1台しかないので、毎日全員の計測を行うことができません。そのため投手陣の中で調整して計測を行うようにしています。
投球に関してはネクストベースさんのサポートを受けていて、2カ月に一度レポートを出してもらっています。
各投手はネクストベースさんのアドバイスをベースに、選手自身が考えてデータを確認したり、パフォーマンスの向上に活かしています。
安本 チームで一番ラプソードを活用しているのは高橋佑樹 (@BomberPitch)なので、彼にも話を聞いてみましょうか。
ーご紹介ありがとうございます。それでは高橋投手、ラプソードの計測データはどのようにパフォーマンスの向上に活かしていますか?
高橋 僕はストレートの回転効率が悪くて、ホップの変化量が少ないのが課題としてあるので、回転効率とジャイロの角度を注視しています。
シーズンオフにはラプソードの数値を見ながら「今は手首が寝てたんだな」とか、「綺麗なバックスピンにするためにリリースを変えてみよう」とか意識しながら練習に取り組んでいます。
シーズン中はラプソードで取れるデータ以上に投球コースの確認を優先しながら、あれこれ変えるのではなく現状把握に努めていますね。
ー変化球については如何でしょうか?
高橋 変化球は球種ごとにバロメーターとなっている数値が違います。
たとえばカーブはどれだけ強いトップスピンが掛けられているか確認したいので、回転数とドロップ成分。
カットボールだと球速に加えて原点以上のホップ成分が欲しいので、回転効率も30%くらいにしたいなとか。
いまはチェンジアップの見方が難しくて、ストレートよりも回転効率が良かったりするんですけど、球速に差があるだけでストレートと変わらないホップ成分だったりします。実戦では抑えられていますが、まだ理想の数値が決まり切っていない球種なので、ここは試行錯誤しながら取り組んでいます。
ーブルペンに入るときは、毎回計測されていますか?
高橋 基本的にはそうですね。ただ、それは僕くらいだと思います。日常的に計測をしているので、一球一球データを見ることは良し悪しあると思っています。
例えば感覚と数値がまったく合わないときは、前までは数値の方を優先してたんですけど、最近では自分とキャッチャーの感覚が合ってたらそっちの方を優先するようにしています。その方がイライラしないので(笑)。
ー数値が出ないとイライラしてしまいますか?
高橋 イライラしちゃってる時期が長くありました。今日みたいに外れ値が出ることもありますし、やはり一か月二カ月とデータが増えてこないと傾向も見えてこないと思うので、今ではピッチング中は参考程度に見るように心がけています。
ー数値を優先していた時期は、試合での結果はどうだったんでしょうか?
高橋 その時は何を信じていいかわからなかったです。
自分の感覚も良くて、キャッチャーもナイスボールって言っているのに、ストレートがカットしていると表示されたときには「本当にそうなのかな?」と。ナイスボールと言ってくれたキャッチャーにも、「いや今のダメだから」と言ったりとか。
これは良くないなと思い、数値は練習後の振り返り用に留めて、グラウンドにいるときは感覚とかライブ感を優先するようになりました。
それで結果もついてくるようになりましたし、なによりブルペンの雰囲気も良くなったと思います(笑)。
また僕らは2カ月に一回ネクストベースの方が来てくれるので、そこで答え合わせができるのも大きいと思っています。
ープロの投手でもなかなかここまでデータを重視して、データとの向き合い方を考えている投手は多くないと思います。いまお話頂いたことも、逆にこのレベルまで来たからこその悩みかなと感じましたが、感覚とデータのバランスはどのように取るべきか、同じようにデータと向き合っている選手たちへのアドバイスはありますか?
高橋 計測すること自体には多くのメリットがあって、皆さんイメージしやすいと思うのですが、一方でデメリットもあることは理解した方がいいかと思っています。
数値と感覚の優先度をどう折り合い付けるかは、ブルペンに入る前に自分で整理してからでないと、何が正しいか分からなくなっちゃう。
数値と感覚のバランスに気を付けて、ピッチングに臨むべきだと思います。
ー高橋投手、お話頂きありがとうございました!
彼を知り、己を知れば、百戦殆からず
ー最後に、安本さんの思うラプソードの導入で一番の成果と言えることはなんでしょうか?
安本 数値で見える化して客観的な情報をフィードバックできるようになり、選手が納得感を得られるようになったのが一番です。
選手たちはみんなよく練習するんですけど、練習内容や得られる成果に納得できなかったり、疑問が浮かぶと前向きに練習に取り組めなくなる気がしています。
ただラプソードで計測して数値を提示してあげると納得した上で練習してくれるので、チームの練習の質を上げる上で有効だと感じています。
ーありがとうございます。それでは今回のまとめとして、安本さんにとってのデータ活用の重要性について教えてください。
安本 やはり「知る」と言うことが一番大事だと思っています。
相手がどういうボールを投げてくるのか事前にわかっていることは有利に働きますし、逆に自分もどういうボールを投げることができるのか特徴を把握していれば、さらに戦いやすくなります。
データを活用して相手と自分の見える化ができるように、今後もチームをサポートしていきたいと思います。
・・・
以上、コアユーザーである東京ガス硬式野球部さんのインタビューをお送りしました。
東京ガス硬式野球部さんは、今年の都市対抗野球大会にも出場します。7月17日に初戦を迎えますので、ぜひチームへのご声援をお願いします!
公式noteでは、今後も定期的に商品・サービスやその活用方法についての情報を発信していきます。
引き続きどうぞよろしくお願いします!