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【打撃編】第4回:ホームラン王誕生秘話~その2~

Rapsodo Japan

皆さん、こんにちは!
Rapsodo Japanでは、トレーニングシーズンの特別企画として投打それぞれのプロフェッショナルの最新の理論を紹介し、現場の指導者や選手の皆さんの課題解決のヒントになる考え方を、note、YouTube、その他SNSなどで発信していきます。

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打撃編の前回は、「アラボーイベースボール根鈴道場」を主宰する根鈴雄次さんに2021年にパ・リーグの本塁打王を獲得したオリックス・バファローズの杉本裕太郎選手を指導したエピソードについて語って頂きました。第4回となる今回は、2021年シーズンの杉本選手の成長や、その他のプロ野球選手の打撃技術についても触れた上で「縦スイング」の理論をさらに深掘りしていきます。

前回の記事はこちらから↓

1. 「フルスイングしなくなりました」とテレビで語った杉本選手

ーLINEで動画を送り合ううちに、徐々に根鈴さんが理想とする「縦スイング」をモノにしていった杉本選手。2021年シーズンが始まるころには、肩の回転が理想に近い縦回転へと変化していました。根鈴さんは送られてくるフォームの変化だけでなく、メディアでの発言からもその成長を感じていたと言います。

根鈴:理論を説明する中でもお伝えしましたが、バットを上げようとするのではなく「押しつぶすイメージ」で、そこから打球は勝手に上がっていきます。

2021年に関しては、胸郭の動きがしっかりと縦に回転するようになり、パームアップで手のひらが返らないまま伸びていき、フォロースルーからもそれが感じられるようになりました。やろうとしていたことは同じですが、やっぱり長年染み付いたクセを無くすのは大変な作業ですよね。

彼の言葉から成長を感じたのは、テレビのニュース番組で徳島商の先輩である川上憲伸さんからインタビューを受けていた時です。なぜ今年打てるようになったのかと聞かれ、その時杉本選手は「フルスイングしなくなりました」と言っていました。そのイメージが正解だと思いますし、成績が一気に上がった要因だと私も考えています。まあ日本シリーズでは、力んで振ってしまっていましたけどね。

あと、彼にとって大きかったのが、オリックスのトレーナーがアメリカ出身で理解のある方だったことです。杉本選手が私の本をトレーナーに渡して、「このイメージを補強できるトレーニングがしたい」と伝えたところ、ゴルフの動きを補強するトレーニングを協力的に組んでくれたそうです。縦スイングの胸郭の動きって、ゴルフのアプローチに近いんですよ

胸郭が縦の動きをするためには、頭は動かずにしっかりした軸を作る必要があります。これまでは肩の動きと一緒に顎も動いていたので、インパクトの瞬間が見えない状態でしたが、それが無くなったのはトレーナーさんのお陰でもあると思います。

2. 杉本選手にとってお手本となった吉田正尚選手

ーそしてもう一つ杉本選手にとって幸運だったのは、同じチームに青山学院大学の2つ後輩であり、同期入団の吉田正尚選手という最高の“お手本”がいたことだと根鈴さんは語ります。ここからは杉本選手への指導から派生して、その他の一流プロ野球選手の打撃技術や共通点について解説して頂きました。

根鈴:今は良い時代で、オリックスのすべての公式戦がスマートフォンで見れますし、YouTubeでは試合前練習もオリックスがライブ配信で流しています。それを見ながら杉本選手のフォームをチェックしていたのですが、そこで私が驚いたのは吉田正尚選手の打撃技術と練習方法です。

吉田選手の打撃理論を聞いた訳ではありませんが、何となく意識していることはわかります。バットを振るというよりも、速いボールが来たら後ろの手をパッと出して、ボールを捕るイメージに近いのではと思います。そうでないと、あんなに深いポイントで打つことはできません。実際に練習や試合でもアウトコースの深いポイントでボールを捉えて、左中間へすごい当たりを飛ばしています。スライダーを打つ時のポイントも、捕手にものすごく近いです。

そんな打撃を、誰に言われるでもなく出来ていた打者が、チーム内にいたことは杉本選手にとって大きかったですよね。三振もしないし打率も高い、初対戦のピッチャーでも真っ直ぐで差し込まれることもなければ、ファウルでカウントを稼がれることも少ない。そしてまともに芯を食えばスタンド一直線で、「あれが理想だよ」と、杉本選手にも言いました。

根鈴:練習を見ていると、わざとファールを打つような練習もやっていますね。限界までボールを呼び込んで、横にファールをがつんと打つ。あれはものすごく良い練習だと思います。恐らくですが、限界まで呼び込んでパッとボールを触る、それで当たったポイントが少し前だったら左中間に飛んでいくようなイメージを持っているのではないでしょうか。

良いバッターは、周りからすれば独自のワールドを持ってる選手が多いです。落合博満さんも、春先のキャンプではひたすらボールを見逃す練習をやっていたじゃないですか。でもそれって今思えば、ボールを打つゾーンを確認する練習だったと思うんです。

オフシーズンになると打撃の感覚が抜けてしまいますが、感覚を戻す時にまずポイントを前で打つことから始めるよりも、後ろで捉えるところから始め、そこからだんだんポイントを前にしていくのが良いと思っています。日本人はポイントを前で打つことしか考えてなくて、そもそもキャッチャーに近いところで打つ考えがないんですよ。

その他にも、落合さんはマシンのボールを真っ正面で受ける練習もしていましたよね。その練習も、多分正面にきたボールを逆方向に打つ練習なんですよ。落合さんも「バットは上から叩く感覚」と説明してましたが、実際は落合さんの打撃は、私が説明したようにグリップを下に落として、インパクトゾーンの長い綺麗なスイング軌道を描いています。昔はiPhoneやラプソード、スイング軌道の測定器などが無かったので、その場で「自分の感覚」と「実際のバットの動き」がどうなってるか確認できなかったのだと思います。

世界の王貞治さんだって、日本刀などを使って「上から叩く」という感覚を口にしていましたが、スイングは同じです。バリー・ボンズさんのスイングと比較しても、違うのは体だけだと思っています。ホームランバッターに共通する部分は昔からあって、それが今は理論として分かってきただけだと思います。

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以上、「アラボーイベースボール根鈴道場」を主宰する根鈴雄次さんに2021年シーズンの杉本選手の成長や、その他のプロ野球選手の打撃技術についてお話し頂きました。

打撃編の最終回となる次回も、現場の指導者や選手の皆さんの課題解決のヒントになる考え方をお届けします。お楽しみに!

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